逆回転発電機



(54)【発明の名称】発電機

(57)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
 磁石を有する円盤状の第一の回転体と、コイルを有する円盤状の第二の回転体とを互いに逆方向に回転させて、前記磁石に対向する前記コイルに起電力を発生させる発電機であって、 前記第一の回転体及び前記第二の回転体を貫通する回転軸を備え、 前記第一の回転体及び前記第二の回転体の内、一方の回転体には、前記回転軸が固定されており、他方の回転体には、前記回転軸の挿通される挿通孔が設けられており、 前記他方の回転体に対向する前記一方の回転体の面には、前記他方の回転体に向って先細になる第一傘歯車が固定されており、 前記一方の回転体に対向する前記他方の回転体の面には、前記一方の回転体に向って先細になる第二傘歯車が固定されており、 前記第一傘歯車と前記第二傘歯車との間には、前記第一傘歯車の回転力を、回転方向を反対にして前記第二傘歯車に伝達する伝達傘歯車が配置されており、 前記回転軸には、二つの前記一方の回転体が固定され、二つの前記一方の回転体の間に前記他方の回転体が配置され、前記他方の回転体とそれぞれの前記一方の回転体との間に前記伝達傘歯車が配置されている、発電機
【請求項2】
 請求項1に記載の発電機であって、 前記伝達傘歯車が、一対の傘歯車から成る、発電機
【請求項3】
 請求項1に記載の発電機であって、 前記一方の回転体が、前記第一の回転体から成り、前記他方の回転体が、前記第二の回転体から成る、発電機
【請求項4】
 請求項1に記載の発電機であって、 前記一方の回転体が、前記第二の回転体から成り、前記他方の回転体が、前記第一の回転体から成る、発電機
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
 本発明は、磁石を有する回転体と、コイルを有する回転体とが互いに逆方向に回転して、コイルに起電力を発生させる発電機に関する
【背景技術】
【0002】
 従来から、発電機は、磁石と導線を巻いて形成したコイルとを近接配置し、コイルに対して磁石を回転させ、又は、磁石に対してコイルを回転させることで、コイルに誘導電流を生じさせ、発電を行っている。 このように、コイルに鎖交する磁束が時間的に変化する場合に、コイルには起電力が発生する
【0003】
 例えば、下記特許文献1には、円盤状の二枚の磁極板の間に、複数のコイルを装着した円盤状のコイルユニットを配置し、磁極板を風車で回転して、コイルに発電を行わせる発電機が記載されている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002―153036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
 この種の発電機では、発電効率の向上を図るために、磁極板とコイルユニットとの間の相対回転速度を如何に高めるかが課題になっている。 本発明は、こうした課題を解決するため、磁石を有する回転体と、コイルを有する回転体とを互いに逆方向に回転させて、発電機の発電効率を高めることを目的としている
【課題を解決するための手段】
【0006】
 本発明は、磁石を有する円盤状の第一の回転体と、コイルを有する円盤状の第二の回転体とを互いに逆方向に回転させて、前記磁石に対向する前記コイルに起電力を発生させる発電機であって、第一の回転体及び第二の回転体を貫通する回転軸を設け、前記第一の回転体及び前記第二の回転体の内、一方の回転体には、前記回転軸を固定し、他方の回転体には、前記回転軸が挿通される挿通孔を設けている。そして、前記他方の回転体に対向する前記一方の回転体の面には、前記他方の回転体に向って先細になる第一傘歯車を固定し、前記一方の回転体に対向する前記他方の回転体の面には、前記一方の回転体に向って先細になる第二傘歯車を固定している。また、前記第一傘歯車と前記第二傘歯車との間には、前記第一傘歯車の回転力を、回転方向を反対にして前記第二傘歯車に伝達する伝達傘歯車を配置している。また、前記回転軸には、二つの前記一方の回転体を固定し、それら回転体の間に前記他方の回転体を配置して、前記他方の回転体とそれぞれの前記一方の回転体の間に前記伝達傘歯車を配置している。 そのため、回転軸に固定された二つの回転体の間で、回転軸に挿通された他方の回転体が、前記二つの回転体と逆方向に回転する
【0007】
 また、本発明では、前記伝達傘歯車を、一対の傘歯車で構成することが望ましい。 そうすることで、第一傘歯車の回転力が、第二傘歯車に安定的に伝達される
【0009】
 また、本発明では、前記一方の回転体を、前記第一の回転体とし、前記他方の回転体を、前記第二の回転体とすることができる。即ち、磁石を有する円盤状回転体の間にコイルを有する円盤状回転体を配置する構造とすることができる
【0010】
 また、本発明では、前記一方の回転体を、前記第二の回転体とし、前記他方の回転体を、前記第一の回転体とすることができる。即ち、コイルを有する円盤状回転体の間に磁石を有する円盤状回転体を配置する構造とすることもできる
【発明の効果】
【0011】
 本発明の発電機では、コイルを有する円盤状回転体と、磁石を有する円盤状回転体とが逆方向に回転するため、コイルと磁石との相対回転速度が高くなり、発電効率が向上する
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】
本発明の発電機の模式図
【図2】
本発明の発電機の断面構造を示す図
【図3】
図2の要部の拡大図
【図4】
図2の回転体に接続された傘歯車を示す図
【図5】
図2の伝達傘歯車機構を示す図
【図6】
磁石が配置された回転体を示す図
【図7】
コイルが配置された回転体を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
 以下、実施例に基づいて本発明の実施の形態について説明する。 図1は、本発明の発電機を模式的に示している。 この発電機は、主要な構成として、磁石から成る円盤状の第一回転体1と、円盤状の基板に複数のコイル26が配置された第二回転体2と、磁石から成る円盤状の第三回転体3と、第一回転体1、第二回転体2、及び、第三回転体3を貫通する回転軸4とを有している
【0014】
 なお、実際の発電機は、この第一回転体1、第二回転体2、及び、第三回転体3等を収容する容器や、回転軸4に回転機構の回転力を伝達する手段、発電した電力を外部に取り出す手段等を備えているが、ここでは、それらを省略している
【0015】
 この第一回転体1と第三回転体3とは、回転軸4に固定されており、回転軸4と一体に回転する。なお、第三回転体3は、第一回転体1を裏返したものであるため、以下では、第三回転体3を“第一回転体3”と表記することにする。 一方、第二回転体2は、円盤状体の両面が他の回転体に対向している点、及び、回転軸4に固定されていない点で第一回転体1、3と違っている。そのため、第二回転体2は、回転軸4の回転と無関係に回転することができる
【0016】
 図2は、第一回転体1、第二回転体2、及び、第一回転体3の結合形態を示す断面図である。第一回転体1と第二回転体2との結合形態は、第一回転体3と第二回転体2との結合形態と同じである。 図3には、第一回転体1と第二回転体2との結合形態を拡大して示している。 第一回転体1及び第二回転体2は、その結合位置に円形の凹部11,21を有し、第一回転体1は、その凹部11内に、第二回転体2に向って先細になる傘歯車12が固定されている。また、第二回転体2は、その凹部21内に、第一回転体1に向って先細になる傘歯車22が固定されている
【0017】
 傘歯車12は、その中心に、回転軸4が嵌合される嵌合孔13を有し、傘歯車12は回転軸4に固定されている。一方、傘歯車22は、その中心に、回転軸4が遊嵌される挿通孔23を有し、傘歯車22と回転軸4とは固定されていない
【0018】
 図4には、第一回転体1の凹部11に固定された傘歯車12と、第二回転体2の凹部21に固定された傘歯車22とを示している
【0019】
 また、図3に示すように、傘歯車12と傘歯車22との間には、傘歯車12の回転力を、回転方向を反対にして傘歯車22に伝達する伝達傘歯車機構5が配置されている
【0020】
 図5には、その伝達傘歯車機構5を拡大して示している。図5(a
は、回転軸4の延伸方向に対して直交する方向から見た伝達傘歯車機構5を示し、図5(b
は、回転軸4の延伸方向から見た伝達傘歯車機構5を示している。 伝達傘歯車機構5は、二つの傘歯車51、52と、回転軸4が挿通される短筒53と、傘歯車51-短筒53間を繋ぐ短軸54と、傘歯車52-短筒53間を繋ぐ短軸55とを備えている。各傘歯車51、52は、短筒53に向かって先細になっている。 短筒53には、回転軸4の挿通孔531が設けられている。短軸54、55は、その一端が短筒53の外側面に固定されている。短軸54、55の他端には、傘歯車51、52が、短軸54、55に対して回転自在に取り付けられている
【0021】
 図3において、回転軸4が回転し、回転軸4に固定された第一回転体1及び傘歯車12が回転すると、傘歯車12に歯合する傘歯車51、52が短軸54、55の周りに回転する。 すると、傘歯車51、52に歯合する傘歯車22が回転し、傘歯車22が固定されている第二回転体2が回転する。 このとき、傘歯車22及び第二回転体2の回転方向は、傘歯車51、52が介在することによって、傘歯車12及び第一回転体1の回転方向とは逆方向になる
【0022】
 第一回転体1及び第一回転体3は、例えば、図6に示すように、複数の磁石を組合わせて構成された円盤体から成る。図6(a
は、その一面を示し、図6(b
は、反対側の面を示している。 第二回転体2は、例えば、図7に示すように、円盤状の基板25と、基板25の両面に載置された複数のコイル26とから成る。 第一回転体1及び第一回転体3と、第二回転体2とは逆方向に回転するため、第二回転体2の各コイル26に鎖交する磁束が時間的に変化し、各コイル26には起電力が発生する
【0023】
 なお、各コイル26は、それらに発生する起電力の位相が一致するように、各コイルの巻線方向や各コイルの接続方法が設定される。 また、各コイル26で発生した起電力は、第一回転体1、第二回転体2、第一回転体3を収容する容器の側に設けられたスリップリング等を介して外部に取り出される
【0024】
 このように、本発明の発電機では、磁石を備える第一回転体1、3と、コイルを備える第二回転体2とが逆方向に回転するため、コイルに対する磁石の相対回転速度が大きくなり、コイルで発生する起電力が増大する
【0025】
 なお、ここでは、伝達傘歯車機構5に二つの傘歯車51、52を配置する場合について説明したが、一つの傘歯車だけでも、傘歯車12の回転を、回転方向を逆にして傘歯車22に伝えることはできる。 ただ、伝達傘歯車機構5に二つの傘歯車51、52を配置した方が、傘歯車12の回転を、安定的に傘歯車22に伝えることができる
【0026】
 また、ここでは、第二回転体2の両面に第一回転体1と第一回転体3とを配置する場合について説明したが、第一回転体1及び第二回転体2だけで発電機を構成することもできる。この場合、第一回転体1に対向していない第二回転体2の側を軸受等を介して回転軸4に係止する
【0027】
 また、ここでは、第一回転体1及び第一回転体3の側に磁石を配置し、第二回転体2の側にコイルを配置する例を示したが、第二回転体2の側に磁石を配置し、第一回転体1及び第一回転体3の第二回転体2と対向する面にコイルを配置しても良い
【産業上の利用可能性】
【0028】
 本発明の発電機は、各種産業分野において広く利用することができ、また、教育現場において、学習用教材等としても利用することができる
【符号の説明】
【0029】
 1   第一回転体
 11  凹部
 12  傘歯車
 13  嵌合孔
 2   第二回転体
 21  凹部
 22  傘歯車
 23  挿通孔
 25  基板
 26  コイル
 3   第一回転体
 31  第一傘歯車
 4   回転軸
 5   伝達傘歯車機構
 51  傘歯車
 52  傘歯車
 53  短筒
 531 挿通孔
 54  短軸
 55  短軸
【要約】
【課題】
磁石を有する回転体と、コイルを有する回転体とが互いに逆方向に回転して、コイルに起電力を発生させる発電機を提供する
【解決手段】
 各回転体1,2,3を貫通する回転軸4を備え、回転体1,3には、回転軸4が固定され、回転体2には、回転軸4の挿通孔21が設けられている。回転体2に対向する回転体1,3の面には、第一傘歯車12,31が固定され、回転体1,3に対向する回転体2の面には第二傘歯車22が固定されている。第一傘歯車12,31と第二傘歯車22との間には、第一傘歯車12,31の回転力を、回転方向を反対にして第二傘歯車22に伝達する伝達傘歯車51,52が配置されている。この発電機では、回転体2が回転体1,3に対して逆方向に回転するため、回転体2の回転体1,3に対する相対回転速度が大きくなり、発電効率が向上する
【選択図】図2


逆回転発電機
逆回転発電機
逆回転発電機
逆回転発電機
逆回転発電機

(56)参考文献

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参考文献 国際公開第2016/147038(WO,A1
     米国特許第04021690(US,A
     国際公開第2010/073743(WO,A1
     韓国登録特許第10-1514668(KR,B1
     特開2018-007304(JP,A


(58)調査した分野(Int.CL,DB名)

H02K  16/02 H02K   7/116 H02K  21/24