エアージェット噴射エンジン



(54)【発明の名称】エンジン

(57)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加速した液体の流れを利用してピストンを上下動させるエンジンであって、液体を貯めた容器と、液体中を上下動する第一ピストンと、前記第・・ピストンと逆向きに前記液体中を上下動する第ピストンと、前記第一ビストンの下端と前記第二ピストンの下端とを前記液体中で連結するワイヤーと、前記第ピストン及び前記第二ピストンの上端が接棒を介して接続される、前記液体の外に配置されたクランクシャフトと、前記容器の内部で前記第-ピストン及び前記第二ピストンの移動路を規定する二つのシリンダーと、前記シリンダーの各々に対して、下からガスを噴射し、前記シリンダー内の液体を加速するカス噴射管と、を備え、前記二つのシリンダーには前記ガス噴射管から交互に前記ガスが噴射され、前記ワイヤーは、前記第一ピストン及び前記第二ピストンの一方が上昇するとき、他方に対して下降させる力を使用し、上昇するピストン及び下降するピストンの両方が、前記クランクシャフトに対して同方向に回転させる力を作用する、エンジン
【請求項2】
請求項1に記載のエンジンであって、前記シリンダーには、前記ガスを排出するガス排出口が設けられており、前記ガス排出口は、前記ピストンが前記シリンダー内を押し上げられたときに開口する、エンジン。
【請求項3】
請求項1に記載のエンジンであって、前記ガス噴射管に、酸素ガスボンベ液体窒素ボンベ、空気を圧縮するコンプレッサー、又は、圧縮ガスタンクから圧縮ガスが供給されるエンジン。
【請求項4】
請求項1に記載のエンジンが、前記クランクシャフトに複数接続されている多気筒エンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中にガスを噴射して水流を加速し、その力でピストンを上下動させるエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載されているエンジンでは、シリンダーの中でピストンが往復し、この往復運動がクランクシャフトにより回転運動に変換されて、動力として利用される。
【0003】
また、ピストンに往復運動を行わせるため、空気と混合された燃料がシリンダー内に吸入される吸入行程と、ピストンが上昇して、吸入された混合気を圧縮する圧縮行程と、圧縮された混合気が点火プラグからの火花で着火燃焼し、膨張してピストンを押し下げる燃焼・膨張行程と、ピストンが再び上昇する際に排気バルブが開いて排気ガスを排出する排気行程とが繰り返し行われている(下記特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】
特開2009-222087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、現代社会では、カーボンニュートラルが指向されており、エンジンからのCO2排出削減が求められている。
【0006】
本発明は、こうした要請に応えるものであり、CO2を排出しないエンジンの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、加速した液体の流れを利用してピストンを上下動させるエンジンであって、液体を貯めた容器と、液体中を上下動する第一ビストンと、第一ピストンと逆向きに液体中を上下動する第二ピストンと、第一ビストンの下端と第二ピストンの下端とを液体中で連結するワイヤーと、第一ビストン及び第二ピストンの上端が連接棒を介して接続される前記容器の外に配置されたクランクシャフトと、前記容器の内部で第ピストン及び第二ピストンの移動路を規定する二つのシリンダーと、前記シリンダーの各々に対して、下方からガスを噴射し、前記シリンダー内の液体を加速するガス噴射管と、を備えており、二つのシリンダーにガス噴射管から交互にガスが噴射される。
【0008】
また、前記ワイヤーは、第一ビストン及び第二ピストンの方が上昇するとき、他方に対して下降させる力を作用する。
【0009】
そのため、このエンジンでは、ガス噴射管から一方のシリンダーに向けてガスが噴射されると、そのガスにより、シリンダー内の液体が加速され、その液体に押上げられてピストン対の一方が上昇する。また、ピストン対の他方は、ワイヤーに引っ張られて下降するそして上昇するピストン及び下降するピストンの両方がエンジンのクランクシャフトに対して同一方向に回転させる力を作用し、これらのピストンの動きに伴って、エンジンのクランクシャフトが回転する。
【0010】
また、本発明のエンジンでは、前記シリンダーに、ガスを排出するガス排出口が設けられており、このガス排出口は、ピストンがシリンダー内を押し上げられたときに開口するそのため、ピストンの上昇後の下降が、ガスにより妨げられる事態を回避できる。
【0011】
また、ガス噴射管には、酸素ガスボンベ液体窒素ボンベ、空気を圧縮するコンプレッサー、圧縮ガスタンク等から圧縮ガスが供給される。
【0012】
また、本発明では、上記エンジンを、前記クランクシャフトに複数接続して多気筒エンジンを構成することもできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のエンジンは、カーボンニュートラルに適応できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】
本発明のエンジンの実施例を示す図。
【図2】
(a)図1のエンジンの動きを説明する図、(b)図1のエンジンの他の動きを説明する図。
【図3】
本発明のエンジンの他の実施例を示す図。
【図4】
図1のエンジンの自動車への搭載状態を示す図。
【図5】
図1のエンジンの自動車への他の搭載状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施例に基づいて本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明のエンジンの実施例を示している。このエンジンは、水50を貯めた水槽10と、水中を上下動する第一ピストン21と、第一ピストン21と逆向きに水中を上下動する第二ピストン22と、第一ピストン21の下端と第ピストン22の下端とを連結するワイヤー33と、第一ピストン21及び第二ピストン22の上端がコネクティングロッド(連接棒)31,32を介して接続されるクランクシャフト30とを有している。クランクシャフト30は、水50の外に配置されている。
【0016】
また、水槽10内には、更に、第一ビストン21の移動路を規定する第一シリンダー1と、第二ビストン22の移動路を規定する第二シリンダー12と、第シリンダー11内にガスを噴射するガス噴射管13と、第二シリンダー12内にガスを噴射するガス噴射管14と、第一シリンダー11の上端近傍に設置されたガス排出口15と、第二シリンダ-12の上端近傍に設置されたガス排出口16とが配置されている。
【0017】
ガス噴射管13及びガス噴射管14には、酸素ガスボンベ液体窒素ボンベ空気を圧縮するコンプレッサー圧縮ガスタンク等から圧縮ガスが交互に供給される。圧縮ガスが供給されたとき、ガス噴射管13は、その圧縮ガスを第一シリンダー11に噴射し、ガス噴射管14は、その圧縮ガスを第二シリンダー12に噴射する。
【0018】
圧縮ガスが噴射されると、それが噴射されたシリンダー11,12内の水50が加速され、加速された水50の水圧で、シリンダー11,12内のピストン21、22が押上げられる。
【0019】
図2(a)は、ガス噴射管13に圧縮ガスを供給したときのエンジンの要部の動きを示している。ピストン21は、加速された水50の水圧を受けて上昇し、そのため、ピストン22は、ワイヤー33に引っ張られて下降する。このとき、ピストン21に接続するコネクティングロッド31、及び、ピストン22に接続するコネクティングロッド32は、クランクシャフト30に対して同一方向に回転させる力を作用するため、クランクシャフト30が回転する。
【0020】
また、図2(b)は、ガス噴射管14に圧縮ガスを供給したときの動きを示している。ピストン22は、加速された水50の水圧を受けて上昇し、そのため、ピストン21は、ワイヤー33に引っ張られて下降する。このとき、クランクシャフト30には、コネクテイングロッド31、及びコネクティングロッド32から、図2(a)の状態と同方向に回転させる力が作用するため、クランクシャフト30は同一方向の回転を続ける。
【0021】
また、図1に示すように、シリンダー11、12は、その上端近傍に、噴射されたガス(気泡)を排出するガス排出口1516を備えている。ガス排出口15,16の下側の開口151,161は、ピストン2122図1のピストン21の状態まで上昇したときに気泡の進入が可能になるように、その位置が設定されている。従って、ピストン2122に対する水50の押上げが不要になった状態で、気泡がガス排出口1516から排出される。ガス排出口1516には、気泡の上昇力を削ぐための障害板が複数設置されており、ガス排出口1516の開口151,161から進入した気泡は、障害板と接触することで勢いを失い、ガス排出口15,16の上端から静かに排出される。
【0022】
このエンジンは、図3に示すように、クランクシャフト30に複数接続して多気筒エンジンとして使用することもできる。
【0023】
エンジンのクランクシャフト30には、図1に示すように、オルタネーター(発電機)60や駆動系が接続される。図4には、自動車に、エンジン80と、エンジン80で駆動されるオルタネーター60と、オルタネーター60で発電された電気を蓄積するバッテリ82と、バッテリ82から電気の供給を受けて、エンジン80に圧縮空気を供給するコンプレッサー81とが配置された状態を示している。
【0024】
また、図5は、自動車に、エンジン80と、オルタネーター60と、バッテリ82と、エンジン80に圧縮ガスを供給するガスタンク83とが配置された状態を示している。このように、本発明のエンジンは、CO2を排出せずに自動車を駆動することができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明のエンジンは、自動車での利用はもとより、種々の動力源として各種産業分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0026】
10 水槽
11 第一シリンダー
12 第二シリンダー
13 ガス噴射管
14 ガス噴射管
15 ガス排出口
151 開口
16 ガス排出口
161 開口
21 第ーピストン
22 第二ピストン
30 クランクシャフト
31 連接棒(コネクティングロッド)
32 連接棒(コネクティングロッド)
33 ワイヤー
50 水
60 オルタネーター(発電機)
80 エンジン
81 コンプレッサー
82 バッテリ
83 ガスタンク
【要約】
【課題】
CO2を排出しないエンジンを提供する。
【解決手段】
液体中を上下動する第一ピストン21と、第--ピストンと逆向きに液体中を上下動する第二ピストン22と、それらを連結するワイヤー33と、第一ピストン及び第二ピストンが接続されるクランクシャフト30と、第一ピストン及び第二ピストンの移勤路を規定するシリンダー11,12と、シリンダーの各々に対して、下方からガスを噴射するガス噴射管1314と、を備えており、シリンダーにガス噴射管から交互にガスが噴射される。
【選択図】図1


エアージェット噴射エンジン
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